香りのある花3〜夜来香・イランイラン・梅・オレンジフラワー・カーネーション・クチナシ・月下美人・沙棗・ジャスミン・ジンジャー

植物

夜来香

夜来香(イェライシャン)は、李香蘭(山口淑子)が歌ったヒット曲の名前になっていることで知られる、ガガイモ科のエキゾチックな花です。

すばらしい香りを持ち、とくに夜から早朝にかけて強く香ります。

原産地は中国南部とインドシナ半島で、現地では食用にもされています。

香りの主成分は、バラにも含まれるゲラニオール、拡散性があり、すみれにも含まれるβ-イオノンです。

イランイラン

イランイランはバンレイシ科の熱帯常緑高木で、東南アジア原産です。

イランイランはマレー語で「花の中の花」を意味し、香り高い黄色の花を咲かせます。

アロマテラピーや香水、石鹸などに使用するために精油の採取が行われていて、主な産地はマダガスカル島やコモロ島です。

水蒸気蒸留によって採油され、シャネル№5やアルページュなど有名香水にも多く使われています。

香りの主成分は、フローラル様のリナロール、スパイシーなメチルベンゾエート、甘く華やかなパラクレジルメチルエーテル、落ち着いた香気のベンジルベンゾエートです。

梅は中国原産のバラ科の落葉高木で、奈良時代に遣隋使、遣唐使によって日本に持ち込まれました。

花の美しさを愛でるだけでなく、食用や薬用にも利用され、中国では燻製にした青梅を烏梅と称して漢方薬として用いてきました。

花には爽やかな香りがあり、平安時代の貴族たちは、沈香、甘松、白檀、丁字、麝香などの香料を混ぜ合わせて梅の香りを表現した「梅花」と呼ばれる練香を用いていました。

香りの主成分は、アーモンド様のベンズアルデヒド、ジャスミンに含まれるベンジルアセテートやベンジルアルコール、丁字(クローブ)の香りのオイゲノールです。

オレンジフラワー

柑橘類の花はどれも良い香りを持ちますが、なかでもオレンジの花は香料としてよく用いられます。

有機溶剤で抽出したものをオレンジフラワー・アブソリュート、水蒸気蒸留法で抽出したものをネロリと呼びます。

ネロリは、17世紀イタリアのネロラ公妃が革手袋の香り付けに使用していたことにちなんで名付けられました。

今でもよく香水に使われている香料です。

カーネーション

カーネーションは、南ヨーロッパ、西アジア原産のナデシコ科の多年草です。

ヨーロッパではバラとならぶ人気を誇る花で、観賞用や香料用として盛んに栽培されています。

日本には江戸時代にオランダ人によってもたらされました。

カーネーションの香りはスパイシーな花の香りで、丁字(クローブ)の香り成分が含まれています。

ニナ・リッチの香水、レール・デュ・タンはカーネーションの香りがメインの香水として知られています。

クチナシ

クチナシはアカネ科の常緑低木で、グリーンノートが混じった甘い香りの花を咲かせます。

沈丁花、金木犀とともに三大香木と称されています。

日本では古くから実が黄色の染料として使われてきました。

西欧ではガーデニアと呼ばれ、ハワイではレイ(花輪)の花として使われています。

香りの主成分は、シス-ジャスミンラクトン、シス-3-ヘキセノール、メチルフェニル・カルビニルアセテートです。

月下美人

月下美人は、中南米原産のクジャクサボテンの一種です。

夜に白い大きな花を咲かせ、拡散性のあるエキゾチックな香りを放ちます。

香りの主成分は、メチルサリシレート、メチルベンゾエート、梅の香気成分ベンズアルデヒド、テッポウユリの香気成分アニスアルデヒド、桂皮の香気成分シンナミックアルデヒド、バラの香気成分であるシトロネロールやネロールです。

沙棗

沙棗はグミ科の落葉低木で、黄色い釣鐘状の花を咲かせ、持続性と重さのある強く甘い果実臭を放ちます。

清の乾隆帝の妃であった香妃が体から放っていた香りといわれています。

香妃はもとは中国の西域、カシュガル地方のウイグル族の王ホジ・ハーンの妃でした。

ホジ・ハーンが乾隆帝に反旗を翻して滅ぼされた後、北京の宮廷に迎え入れられましたが、香妃は皇帝の愛を受け入れるどころかその命をねらったため、皇太后に迫られて自害しました。

ジャスミン

ジャスミンはモクセイ科の常緑低木で、ヒマラヤ原産です。

古くから栽培されていた花で、紀元前にはエジプト、ペルシャ、ローマで栽培されていました。

現在では、エジプト、インド、モロッコで盛んに栽培されています。

ほかの香りと馴染みが良く、華やかで甘い香りのジャスミンは、バラとならぶ重要な花香料です。

ジャスミンの香りは熱に弱いので水蒸気蒸留法ではなく、牛脂などに香りを吸着させる昔ながらのアンフルラージュ法や有機溶剤による抽出によって精油を採取しています。

香りの主成分は、爽やかなメチルジャスモネート、甘いジャスミンラクトン、糞臭に似たインドールです。

ジンジャー

根をよく料理に用いるジンジャーはインド原産の植物で、甘くスパイシーな香りを放つ、白い大きな花を咲かせます。

香りの主成分は、フローラル様のリナロールやメチルエピジャスモネート、スパイシーなオイゲノールやメチルイソオイゲノール、甘いラクトン類です。

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