香りのある花1〜沈丁花・水仙・スズラン・すみれ・チューリップ・ヒヤシンス・フリージア・ミモザ〜

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その美しさでわたしたちの目を楽しませてくれる花々には、良い香りを持つものがたくさんあります。

贈り物の花束や庭に咲く花々からふと良い香りが漂ってくるのに気がついたことはないでしょうか。

人類は昔から、花の姿を愛でるだけでなくその香りにも親しんできました。

これから数回にわたって良い香りのする花々を紹介していきます。

沈丁花

沈丁花は中国原産の常緑低木です。くちなし、金木犀とともに三大香木として知られています。

よく庭木として植えられ、道端に漂う香りは春の訪れを感じさせます。

沈丁花は、沈香と丁字の香りを合わせ持つことから名付けられました。

中国名を瑞香といいます。徳が高い尼僧が夢に見た花ということで初め睡香といわれたのが、立派な人が夢に見るのはめでたい花だということで瑞香となったそうです。

日本には江戸時代頃に伝わりました。

香りの主成分はリナロールとシス-3-ヘキセノールで、その他、2-オクテノール、シトロネロール、ネロールなどが含まれています。

水仙

地中海沿岸地方原産のヒガンバナ科の多年草です。

日本には中国経由で室町時代に伝えられました。

学名Narcissusはギリシア神話の美青年ナルキッソスに由来します。ナルキッソスは、湖の湖面に映る自分の美しい姿に恋い焦がれ、寝食も忘れて湖面を眺めているうちにやせ細って死んでしまい、その跡に水仙が生えたといわれています。

世界中に一万数千種類あるといわれている水仙のうち、クチベニスイセン、フサザキスイセン、キズイセンなどから香料が採れます。

強いバイオレット葉様のグリーン香を持ちます。

スズラン

ヨーロッパ原産の多年草です。バラ、ジャスミンとともに三大花香と呼ばれます。

香りの主成分はシトロネロールやネロール、シンナミックアルコールなどで、グリーンノートを帯びた爽やかですっきりとした甘さのある香りです。

女性用の香水によく使われる香りですが、精油は高価なうえに花そのままの香りではないので、合成香料やその他の天然香料を組み合わせてスズランの香りを再現しています。

フランスでは、5月1日にスズランの花束を贈られると幸福が訪れるといわれています。

すみれ

スミレ科植物は現在19属約800種ほどが知られていますが、それらのなかで香りが良いものはヨーロッパ原産のニオイスミレです。

ギリシア語でイオンと呼ばれ、ギリシア神話では、最高神ゼウスの妻ヘラの嫉妬のため雌牛の姿に変えられたイオの食べ物としてつくられたといわれています。

花と葉から香料が採れますが現在ではあまり使われず、多くの場合、すみれの香りは人工的に再現したものです。

ナポレオンやマリー・アントワネットが愛した花として知られています。

チューリップ

トルコ語でターバンの意味を持つチューリップはユリ科の球根植物です。

トルコで栽培されていたものが16世紀にヨーロッパに伝わり、17世紀には投機的な売買も行われるほどの人気を得ました。

日本には江戸時代に渡来し、現在では新潟県と富山県で盛んに栽培されています。

チューリップの香りというとあまり馴染みがありませんが、じつはチューリップにも香りを持つものがあり、グリーンノートを帯びたフルーティーな花の香りがします。

ヒヤシンス

ヒヤシンスは地中海東部沿岸地方原産のキジカクシ科の球根植物です。

オランダで改良され、日本には江戸時代末に渡来しました。

ギリシア神話では、飛んできた円盤に当たって死んだ美青年ヒュアキントスが流した血から生えたといわれています。

ヒヤシンスの香りは、フェニルアセトアルデヒドが主成分のグリーンノートです。

フリージア

南アフリカ原産のアヤメ科の球根植物です。

喜望峰で発見され、ヨーロッパに持ち込まれました。日本には江戸時代末に伝わっています。

オレンジ・黄・白・紫など花色が豊富です。なかでもラインベルト・ゴールデンイエローという品種が大きな花と強い香りを持ち、代表的な品種とされています。

香りの主成分はリナロール、α-ターピネオール、ヘキサノールです。

ミモザ

オーストラリア原産のマメ科の常緑高木です。

黄金色の花を切り花や香料として用いるために、南フランスの海岸沿いで盛んに栽培されています。

日本には第二次世界大戦後に入ってきました。

ウッディーでややグリーンな香りを持ちます。

次の記事に続きます。

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